正当な評価なんて夢物語【書評】
こんばんは、あまぬいです。
今回はふろむだ氏の著書
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』のレビューをさせて頂きます。
(長いので、以下『勘違いさせる力』と呼びます)
1~3章で大枠のまとめ、4章で自分の所感などを記しています。
目次
- ふろむだ氏が警鐘を鳴らす『2つの不都合な真実』
- 薄々感じていた『認めたくない事実』は正しかった
- 無意識を知り、無意識を利用しろ
- 所感や考察
1.ふろむだ氏が警鐘を鳴らす『2つの不都合な真実』
本書では2つの『不都合な真実』がありました。
- 世の中の成功を決める要素は『実力<運』である
- 私たちの評価には数多くの『錯覚』が交じっている
そして、その主張の根拠として
私たちが無意識に起こす『勘違い』や『バイアス』の例を挙げています。
これらの勘違いやバイアスを、我々は認知できません。
けど、それらは確かにこの世に存在していて、私たちを密かに操っています。
何となくこうあって欲しい、という願望がこの勘違いを生み出しており、
そして我々は、その願望を信じたくなってしまう。
というのが、非常に性質の悪いところです。
- 未来は運ではなく実力で決められる
- 私は他人を肩書きではなく中身で判断している
- 現実は私たちのイメージに近いものである
こうした現実とかけ離れた理想が、私たちに『錯覚』を与えます。
つまり現実は
- 未来は実力ではなく運で決まる
- 私は中身ではなく肩書きで判断している
- 現実は私たちのイメージとはかけ離れている
ということです。
このことが、本書で記されている数々の実験で証明されています。
そしてこうした錯覚は、なかなか自覚することができない上に、
私たちに謝った判断を促すのです。
私たちはこうして、
自分が間違っていることに気づけないまま、間違え続けるのです。
2.薄々感じていた『認めたくない事実』は正しかった
あなたは『偉そうな肩書き』に価値があると思いますか?
これは答えにつまるかもしれません。
では質問を変えましょう。
あなたは『偉そうな肩書き』に価値があると思いたいですか?
この質問には『ノー』と答える方が多いのではないでしょうか。
肩書きなんて、実力とは関係無い。
そんなもの無くたって、実力さえあれば評価される。
そう思いたいですよね?
この『思いたい』という感覚が、我々に錯覚を呼び起こすのです。
では何故、偉そうな肩書きに価値が無いと思いたいのでしょうか?
それは、あなたに偉そうな肩書きがないからです。
【偉そうな肩書き=価値がある】なら
【肩書きの無い自分=無価値】となり、自分にとって不都合です。
この不都合を、私たちは認められません。
『無意識』にこの判断を振り払おうとします。
このように私たちは、
無力な自分を合理化するために、様々な錯覚を引き起こします。
どれだけ頭では分かっていても、
抗えない無意識が、私たちを密かに操作しているのです。
3.無意識を知り、無意識を利用しろ
1章で挙げた2つの不都合な真実の中で、
『私たちの評価には数多くの『錯覚』が交じっている』
と述べました。
そう、私たちは他人を正しく評価できず、正しく評価もされないのです。
無意識の錯覚による補正をかけた状態でしか、他人を見ることができません。
こうなればもう、実力がどうこう言っている場合ではありません。
他人の無意識を利用してやりましょう。
まず手に入れたいのは『肩書き』です。
これは文字通りの肩書きでも良いですし、
「アフィリエイトで月100万稼ぎました」
「ユーザーが40%増えました」
「表示速度を7.6倍にすることができました」
というような数字による結果でも良いでしょう。
大事なのは「凄そう」と思ってもらうこと、それだけです。
しかし、
「そんな簡単に結果を出せないよ・・・」
と反論する方がほとんどでしょう。
ご安心ください。
結果を出したいなら、結果がでるまで挑戦すれば良いのです。
「そんな根性論!」と、
これまた反論をもらいそうですが、思い出してください。
成功のために必要な要素は、実力<運 なのです。
つまり、何度も試せいつか結果がついてくるのです。
大事なのは『回数』です。
小さなチャレンジを繰り返し、1度でいいから運よく当たればそれでOKなのです。
たった1度成功すれば、あとはあなただけの『勘違いロード』が待っています。
1度成功を収めれば、あなたには立派な「箔」がつきます。
これを元手に、次の成功を狙っていきましょう。
大丈夫、周りはあなたが「実力」で成功したと思います、思いたくなるのです。
あなた自身ですら、そう信じたがるでしょう。
4.所感や考察
最後に、自分の感想などをつらつら述べさせて頂きます。
まず、実力主義への否定が印象的でした。
【人間は、あらゆる物をコントロールしたいという欲求がある】
↓
【実力で未来をコントロールできないとストレスが溜まる】
↓
【ストレスを溜めないように、未来は実力次第で変えられると思い込んでいる】
冷静に考えれば、個人(実力)の力よりも、それ以外(環境≠運)の力の方が影響が大きいというのは、当たり前のことですよね。無意識って恐ろしいです。
あと、本書に書かれていることの多くは「何となくそんな気はしていた」という内容なんですよね。ただ、正直にそれを認めたくないという事実ばかり。
その悪い予感が的中していたのは悲しいことですが、そうした環境で生き残る術のヒントが書かれているのが救いでした。
人間を評価しているのは人間です。
そして人間は平等で公正とはかけ離れた存在です。
結局は、個々人の認識によって人の能力がはかられるご時世。
謙虚に生きるよりも、大きく見せるが吉のようですね。
以上、読了ありがとうございました。